敷金とは

敷金の定義

敷金とは、法律用語で、不動産の賃貸借の際、賃料その他賃貸借契約上の債務を担保する目的で賃借人が賃貸人に交付する停止条件付返還債務を伴う金銭である。

具体的には賃借人(借主)が家賃を滞納した場合や故意(わざと)や過失(不注意)で賃貸借契約の目的物(部屋や設備)を壊してしまった場合の損害を担保する目的で賃貸人(貸主)に預けた賃借人(借主)のお金です。

敷金はいつ返してもらえる?

賃借人(借主)が敷金の返還を請求するには、賃貸借契約の目的物の明け渡しが完了していることが必要です。(最判昭和49.9.2)。

契約終了時に敷金返してと言えるか?

敷金は賃貸借契約の目的物の明け渡し(退去)までに生じた一切の損害を担保するので敷金の返還を請求をすることができるのは賃貸借契約の終了時ではなく、特約がない限り、退去をした後に初めて請求することができます。

現実に敷金を返してもらえるのはいつ?

現実に敷金が返還される時期は賃貸借契約書に敷金の条項があると思われるので、そこに返還の時期が記載されていればそれに従います。

賃貸借契約書に敷金の条項がない場合は原状回復の必要性がある場合にはその金額が確定後、原状回復の必要性がない場合には通常は退去後、1か月以内に返還されることが多いと思います。

敷金と礼金との違い

敷金と礼金の違いは、敷金は退去後に賃借人(借主)に返還されるもので礼金は賃借人(借主)に返還されないものです。

礼金とは

礼金は昔からある慣習で部屋を貸してくれる大家さんに部屋を貸してくれてありがとうとお礼の気持ちを込めて渡すものみたいです。

礼金の歴史的背景

昔は地方から東京に一人で上京する学生等の保護のために大家さんに対して支払ったお金であった。礼金を受け取る大家はこれから借主の面倒を見てあげるという義理の約束をし、大家に面倒を見てもらうことに対するお礼の気持ちから礼金と呼ばれることになった。

海外に礼金ってあるの?

日本以外では礼金はありません。

しかし非常に人気がある家の場合は内緒で賃貸人に現金を差し出す慣習はあります。

敷金・礼金という呼び名は全国共通?

関西では敷金のことを「保証金」、礼金のことを「敷引き」と呼んでいたみたいで、今でもそのような呼び名をされる場合があります。

岡山県の方に聞いたら岡山県では敷金、礼金と呼ぶと言っていました。

敷金と保証金との違い

基本的に同じです。

個人が預ける場合には敷金、法人が預ける場合には保証金という使われ方が多いと思います。

ただし保証金の場合には償却や敷引きで一定額を返還しない特約があることがあります。

敷引きとは

敷引の定義

敷引きとは主に関西地方の慣習で賃借人が賃貸人に預けた敷金又は保証金のうち一部を契約終了時に賃借人に返還しない特約のことで解約引きとも呼ばれます。

敷引特約の具体例

例えば契約時に敷金40万円、

敷引特約
1年未満 控除額18万円
2年未満 控除額21万円
3年未満 控除額24万円

1年6か月で契約契約が終了した場合2年未満なので40万円から敷引金21万円を差し引いた19万円が返還される特約です。

敷金の承継

賃貸人に承継があった場合

賃貸借契約中に目的物の譲渡等によって、賃貸人に変更があった場合、敷金も新賃貸人に承継される。

つまり賃借人は新賃貸人に対して敷金の返還を請求することにあります。

賃借人に変更があった場合

賃貸借契約中に賃借権の譲渡等によって、賃借人に変更があった場合、敷金は新賃借人に承継されない。

つまり旧賃借人は賃貸人に対して敷金の返還を請求し、新賃借人は新たな敷金を賃貸人に交付することになる。

敷金についてのよくある質問

Q:今月の家賃の支払いが厳しいのですが敷金から差し引いてもらうことは可能ですか?

A:敷金は滞納した家賃、原状回復費用、その他貸借契約上の債務の補填に利用される為に貸主に預けているので借主の経済的な理由で一方的に敷金を家賃に充当してもらうことはできません。

Q:契約書に借主は原状回復して明け渡しをと書いているのですが入居する前と同じ状態にしてから部屋を返還しないといけませんか?

A:賃貸借契約における原状回復とは、入居する前と完全に同じ状態に戻すことではないので、契約書に入居する前と同じ状態にすると書いてあっても通常の使用方法によって減耗等は借主は負担する必要はありません。

部屋を借りるときは通常の使用方法をすることを前提に契約をするので通常の使用方法による減耗等は賃料に含まれているからです。

Q:退去後3年経過していますが敷金の返還はまだ可能でしょうか?

A:敷金返還請求権は基本的に5年間の消滅時効にかかるので物件の明け渡し後、5年以内であれば可能です。

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